家族信託を利用しなくても、もし認知症になったら成年後見人をつければいいのでは?

状況

愛知県内にお住まいのAさん(男性・40代)からのご相談です。奥様と2人のお子様がおり、お子様は全員独立しています。Aさんのお父様(70代)はご実家で一人暮らしをしています。万が一お父様が認知症などで体調を崩されて判断能力がなくなってしまった場合、これらの不動産の管理が出来なくなることを知り、Aさんは不安に感じていらっしゃいました。また、お父さん名義の預貯金も3,000万円弱お持ちでしたので、この口座が凍結されてしまい、介護や生活にかかる費用が支払えなくなってしまう可能性もありました。財産凍結のリスクは知っているが、家族信託のような契約をしなくても、万が一認知症になったら、成年後見人をつけたらいいのでは?というご相談をいただきました。

家族信託と成年後見の違い

いつからいつまで続くのか?

成年後見家:庭裁判所の審判~本人の死亡まで
家族信託:契約締結時~終了時期は自由に設定できる

不動産売却が可能か?

成年後見:家庭裁判所の許可なく売却することはできない(合理的な理由が必要)
家族信託:信託の目的に反しなければ自由に売却可能。

財産管理者への報酬

成年後見:後見人の報酬は家庭裁判所が決定する。
家族信託:信託契約の中で自由に設定可能。

財産管理者にはだれがなれる?

成年後見:家庭裁判所が決定する。弁護士などの専門家が選任される割合が7割。親族が3割。
家族信託:契約の中で自由に決めることが可能

お父様は、認知症にならないかもしれません。なるかもしれません。確かにお父さんご自身がずっとお元気で天寿を全うされた場合には、家族信託は意味をもたないものになる可能性もあります。
ただ万が一認知症になってしまい、その後成年後見人に弁護士などの専門家が選ばれた場合、年間30万円ほどの費用が必要となります。
10年で300万、20年だと600万もの費用がかかることとなります。

家族信託を行うメリット

人生100年の時代に入りました。健康で長生きすることは喜ばしいことですが、残念ながら平均寿命の上昇に伴い、認知症の方も増えてきました。
万が一、認知症になった際に備えて、保険として家族信託を利用することは大きな安心につながるかと思います。