完全マニュアル!家族信託の手続き一覧と思わぬ注意点とは!?
家族信託の手続き
時系列に並べていますので、この通りに進めていけば家族信託の手続きを完了させることができます。
(1)家族信託の目的と内容を話し合って決める
家族信託をどういう目的で行うのか、どの財産を信託するのか等の家族信託の設計方法については十分な話し合いが必要です。誰もが納得できる形を模索して家族信託の内容を取り決めるのが理想です。
このプロセスをおろそかにすると、後でトラブルの原因になります。そうなると家族信託本来の目的が果たせなくなる恐れもあります。トラブルを避けるためにも、家族間でそれぞれ想いを共有する為の家族会議を開くことから始めていきましょう。
(2)信託契約書を作成する
あらかじめ収集した情報に基づいて、信託契約書を作成します。信託契約書のひな形をダウンロードできるものもありますが、まだ家族信託という制度自体があまり一般的ではないため、契約書自体の形式もまだ確立されていません。信託契約は、決められた条項や内容を入れないければ、想定外の問題が発生する場合もありますので、家族信託についての本などを参考にしながら、必要事項に漏れがないかよく確認するようにしてください。
(3)信託契約書を公正証書にする
契約書の効力をより確実なものにするために、信託契約書を公正証書で作成するという方法があります。公正証書で作成すると原本は公証役場で保管されるので、契約書紛失のリスクを予防することができます。また、公証人が関与して本人確認、意思確認がしっかりと行われた信託契約書を作成する為、契約書作成時に本人の意思判断力があったことの証明にもなります。
公正証書の作成は、最寄りの公証役場で行います。公証役場で相談をした後、契約書に委託社と受託者の印鑑を押して、作成手続きが完了となります。
(4)信託財産を受託者に名義変更(信託登記)
信託契約書を作成しただけでは、実際に本人の財産を管理・運用することはできません。不動産など名義の概念がある財産は、委託者から受託者へ名義の変更が必要となります。この場合、単なる登記ではなく信託登記の形で名義が変更されるため、その財産が委託者からの信託財産であることが明記されます。
(5)金銭を信託するための銀行口座を開設する
受託者は財産の管理を任されたのであり、財産をもらったわけではありません。そのため受託者自身の資産と別枠で管理をする必要があり、銀行口座を分けて管理するのが一般的です。
信託財産に関するお金の管理をするために、「委託者〇〇受託者〇〇信託口」というような信託専用の別口座を作ります。但し、この信託口座を作ることができる金融機関は限られているので、対応している金融機関を探す必要があります。
(6)信託による財産管理の開始
ここまでの流れを経て、家族信託の手続きは完了です。以後は受託者が委託者の意向に沿って財産を適切に管理・運用していきます。
家族信託手続きの注意点
家族信託手続きを進めていく際に、注意するべき事があります。
信託の「30年ルール」というものです。
家族信託手続きに必要な情報の項目に信託期間というものがありました。これは任意で決めることができる期間ですが、家族信託には法的に「上限」があります。その上限とは30年で、家族信託が発効してから30年後以降に受益者となっている人が亡くなると、その時点で家族信託の効力は自動的になくなります。
これは「30年ルール」と呼ばれており、家族信託の効力をどこまで及ばせたいかという検討をする際には知っておくべきことです。