共有不動産の処分を家族信託契約で締結したケース

状況

愛知県内にお住まいのAさん(男性・70代)からのご相談です。Aさんがお住まいの自宅の土地は、元々親が持っていたものを3人兄弟で相続したもので、3人共有となっています。
Aさんは近い将来、施設に入所することを考えています。他の兄弟も高齢であることから、その時には自宅の土地の売却を進めたいと思っています。
Aさんは3人兄弟の末っ子で、長男は80歳を過ぎ認知症の不安があります。二男は北海道で生活しています。売却については、3人の合意はあるのですが、長男が認知症になれば、後見人申立が必要。
北海道に住む二男との連絡もスムーズにいくか心配な点があります。家族信託の設計当事務所では、Aさんと、長男さん、二男さんの3人とAさんの息子さんとの間で
家族信託契約を結ぶご提案をしました。

家族信託のスキームは以下のとおりです。

信託財産:実家不動産

委託者:Aさん長男さん二男さん
受託者:Aさんの長男
第一受益者:Aさん長男さん二男さん
第二受益者:なし
土地の売却が完了した時点でこの信託は終了し、それぞれが持つ受益権割合に応じて売却したお金を分けることになります。
家族信託を行うメリット不動産が共有状態の場合、共有者全員の合意がないと売却手続きができません。だれか1人でも認知症になってしまうと、その方に成年後見人をつける必要があります。
さらに不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要となり、通常の売却よりも手続きがかなり煩雑となります。
家族信託契約を締結することにより、そのリスクを回避することができ、いざというときにはスムーズに売却が可能となりました。