収益不動産の管理を贈与を使わずに委譲したケース
状況
愛知県内にお住まいのAさん(男性・60代)からのご相談です。
Aさんの相続人は、長男お一人で、ご実家の他にアパートを所有しており、その収益で生計を立てている。
相続に関しての心配はないものの、長男にアパートを出来る限り早く譲るとともに、管理を任せたいと思っていて、ご自身はゆっくり余生を楽しみたいと考えている。
しかしながら、生計を立てている関係もあり、今すぐ譲ると税金面などの心配も含め、不安がたくさんあり、いい方法があれば知りたいと思っている。
家族信託の設計
当事務所では、Aさんがお元気な今のうちに、長男との間で家族信託契約を結ぶご提案をしました。
家族信託のスキームは以下のとおりです。
- 信託財産:収益不動産のみ
- 委託者:Aさん
- 受託者:長男さん
- 第一受益者:Aさん
- 第二受益者:なし
- 財産の帰属先:長男さん
長男が代わりに収益不動産の管理、賃貸、売却、修繕、建て替えなどの一切の契約行為を行うことができるようにしました。
その不動産から得た収益は、Aさんのものとして、長男が管理します。
Aさんの生活費や介護費用に使うお金も、不動産の収益から、長男が必要なお金を引き出して対応することができるようにしました。
また、Aさんがお亡くなりになった後、長男が収益不動産を相続できるようにしました。
家族信託を行うメリット
まず、贈与するときと比較して、税金面では登録免許税は1/5以下で済み、贈与税など、その他の税金はかかりません。
必要な不動産のみを信託する事により、初期費用も抑え、預貯金などは今まで通りAさんが管理でき、亡くなった後は長男が相続できます。
収益不動産も契約により長男に滞りなく相続されるため、税金面も含め、遺産承継に影響は一切及びません。
Aさんは、実質、ご自身の生活を変えることなく、アパートの管理のみ、生前に長男に任せることが可能となりました。