失踪者を含む相続を認知症対策を含めて事前に解決したケース

状況

 

愛知県内にお住まいのAさん(男性・50代)からのご相談です。Aさんの父Bさん(70代)は、病院に入院中であり、体調が芳しくない。

Bさんは、回復傾向にあるが、資産管理を一人で継続できるか分からない。

 

また、Aさんの他に、相続人のCさん(男性・40代)がいるが、現在、行方知れずの状態である。現状だと、相続時に、半分しか預貯金解約ができないと銀行から言われている。

 

家族信託の設計

 

当事務所では、BさんとAさんとの間で家族信託契約を結ぶご提案をしました。家族信託のスキームは以下のとおりです。

 

・信託財産:実家不動産、預貯金の一部

・委託者:Bさん

・受託者:Aさん

・第一受益者:Bさん

・第二受益者:なし

・財産の帰属先:Aさん

 

AさんがBさんに代わり自宅、預貯金の一部の管理を行えるようにしました。

 

また、Bさんの生活費や介護費用に必要なお金を引き出して対応することができるようにしました。

 

現状、信託不動産に含めることが出来ない田畑のような土地等の信託不動産外に含めなかった財産に関しては、併せて、遺言書を作成し、Bさんがお亡くなりになった後、Aさんが引き継げるようにしました。

 

家族信託を行うメリット

 

 後見制度を使用した場合、毎月3-5万円程を後見人等に支払う必要があります。(任意後見監督人の場合、1-3万円程)また、財産管理状況を家庭裁判所に報告する必要等が発生し、資産の使用が大幅に制限されることになります。

 

不動産の売却と、生活費の確保程度の依頼をしたくとも、一度選任された後見人を外すことはできず、支払のみが負担として、残ることがあります。

そのため、後見制度を使用せず、必要な範囲内で認知症対策を施すことが出来ました。

 

加えて、行方不明者が存在する場合、不在者財産管理人、又は、失踪宣告を行った上で、遺産分割協議を行わなければならないところ、信託契約、遺言書の作成により、財産をスムーズに承継する事が可能となります。但し、遺言執行段階での遺言執行者の責任は別途ありますので、ご注意ください。