家族信託を活用して株式会社の事業承継に対応したケース
状況
不動産賃貸業の社長である、A様(女性・70代)からのご相談です。
事業の承継者は、長女のB様と考えていました。事業承継及び相続税対策として、長女のB様に、自社株の3分の2を暦年贈与してきました。ところが長女のB様が、A様よりも先に亡くなってしまいました。
長女B様には、夫と未成年の子供がいます。次順位の事業承継者として、A様のご長男のC様を検討しています。
このためには、長女Bの相続人からA様に株式を戻す必要があります。しかし、一気に贈与すると多額の贈与税がかかってしまう。
家族信託の設計
当事務所では、Aさんがお元気な今のうちに、Bさんの相続人との間で家族信託契約を結ぶご提案をしました。家族信託のスキームは以下のとおりです。
・信託財産:自社株式
・委託者:Bの相続人
・受託者:Aさん
・第一受益者:Bの相続人
・財産の帰属先:Aさん
株式会社の株式を家族信託することで、株式の議決権のみをA様に集約することができます。
これにより、Bの相続人の議決権関与無しで、会社を運営でき、スムーズになります。
その後、株式をBの相続人からA様やC様に暦年贈与を行い、事業承継を行います。
家族信託を行うメリット
① 株式会社の株式を家族信託することで、株式の議決権のみをA様に集約することができきます。
② 信託契約設定時には、贈与税が発生しません。
③ 毎年110万円の範囲内で、株式をA様や、C様に、暦年贈与をしていくことができるようになりました。