相続や認知症に不安がある親の預貯金について、まとめて解決したケース

状況 

 

愛知県内にお住まいのAさん(女性80代)の長男(60代)からのご相談です。

 

施設に入居している認知症の兆候があるAさんについて、長男が代わって、唯一の財産であるAさんの預貯金から、Aさんに関する費用の支払いや、銀行の手続きを行っていました。

しかしながら、このまま認知症が進んでしまった際に、これまで通りの管理体系で問題がないか心配をしていました。

 

加えて、Aさんに相続が起きた際に、揉める要素はないものの、他の相続人が疾患の関係で、手続きに応じられない可能性があるため、凍結してしまうのではないかという心配もありました。

 

家族信託の設計

 

 

当事務所では、Aさんがお元気な今のうちに、長男さんとの間で家族信託契約を結ぶご提案をしました。家族信託のスキームは以下のとおりです。

 

・信託財産:預貯金

・委託者:Aさん

・受託者:長男さん

・第一受益者:Aさん

・第二受益者:なし

・財産の帰属先:長男さん

 

信託を結んだその時より、長男さんがAさんの代わりに、預貯金の管理を行うことができるようにしました

また、生活費や介護費用に使うお金の管理や、介護施設など大きなお金を動かす際にも、信託した預貯金から、長男さんが必要なお金を引き出して対応することができるようにしました。

 

また、Aさんがお亡くなりになった際には、他の相続人の協力が必要な相続手続きを経ることなく、唯一の財産である預貯金の引き継ぎも可能にしました。

 

家族信託を行うメリット

 

 遺言だけであれば、相続に関する問題しか解決しないところ、信託を組むことにより母の財産管理を、既に行っていたような都度都度なんとなくのやり取りの管理ではなく、しっかりとした内容の信託契約を交わしたことにより、堂々と行え長男さんの心労をなくすことにも成功しました。

 

このように、相続や財産にまつわる複数の問題を、まとめて解消できるメリットを改めて確認することができました。