家族信託と任意後見制度は併用できますでしょうか?
A.併用可能です
併用可能です。
(1)併用のメリット
①任意後見のメリット
財産管理にとどまらず、施設入所や入院の際の「身上保護」を
含めた対処が可能となります。
ですが、任意後見では取消権がありません。
すなわち、本人がした契約などの法律行為を任意後見人が取消すことはできません。
②民事信託のメリット
財産が受託者名義に変わるため、不当な契約を締結させられる可能性が低く、
また仮に締結させられたとしても財産の逸失を防ぐことができます。
すなわち、「財産保全機能」が高いと言え、併用によって、
任意後見のデメリットをカバーできます。
また、民事信託には他にも、収益不動産等を活用するために「借入れ」可能、
「資産運用」可能などのメリットがあります。
③両制度のメリット
両制度のメリットを「同時」に活用するため、両制度を併用することが
行われています。
なおこの場合、民事信託で主だった財産を保全・運用しつつ、任意後見により、
身上保護や民事信託だけではカバーできない本人の手元財産(年金等)の管理を
行うという運用が予定されます。
(2)信託財産が農地の場合
甲土地を信託財産とする家族信託契約を締結したい場合
設定として、XとYが、委託者兼受益者X、受託者Y、Xが所有する
甲土地を信託財産とする家族信託契約を締結したい場合を考えます。
このとき、甲土地が農地の場合、農地のまま信託財産とすることはできません。
(農地法3条6項)
停止条件付信託契約
そこで、農地転用の許可や届出によって、甲土地を農地以外の用途に変更し、
地目変更の登記をすることで信託財産とすることが可能となります。
上記の許可等を得る前に信託契約を締結する場合は、これらの許可等が得られた
タイミングで信託契約が発効する、「停止条件付信託契約」を締結することとなります。
言い換えると、地目変更が完了するまでは、受託者Yは何もできないということです。
つまり、地目変更が完了するまでは、Xが地目変更等の手続きをしなくてはなりません。
しかし、この手続きの途中でXが認知症等で意思能力を喪失すると、上記手続きが
できなくなり、その結果、停止条件付信託契約の効力が発動することはなくなります。
そこで、地目変更まで確実になされるよう制度設計する必要が出てきます。
任意後見制度
ここで、「任意後見制度」を利用します。
すなわち、Xを委任者、Yを受任者とし、甲土地の農地転用・地目変更手続きを
代理権の内容とする任意後見契約を「併用」します。
そうすれば、甲土地の地目変更前にXが意思能力を喪失したとしても、
Yが甲土地の農地転用・地目変更手続きを行えることとなり、
確実に信託契約を発行させ、甲土地の流動性を確保することが可能となります。
(※なお、本来、任意後見人YはXの代理人として、民事信託の受託者を
監視・監督すべきです。ですが、本設定のように任意後見人と受託者を同一人Yが
兼任してしまうと、受託者への監督が十分に機能しないことが懸念されます。
そこで、このような場合には、受益者代理人や信託監督人を選任し、受託者への監督を
十分に確保することで、任意後見人と受託者を同一人物にすることが許容されると
考えられます。)
このスキームは、生産緑地の指定を受けていた農地について、指定から30年が
経過したことで指定を解除して宅地にし、信託財産とするような
場合に利用されることが想定されます。
家族信託はどこに相談すればいいの?
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