【信託財産のご質問】農地は家族信託で生前・相続対策できるの?

ここでは「農地は信託できるのか」という家族信託のよくある質問について専門家が解説いたします。

まず、家族信託とは認知症対策や相続対策のために財産を家族に託して、財産凍結を防止したり、財産の承継先を生前に決めておく制度です。

他の生前対策(遺言や生前贈与、任意後見)よりも自由度が高いため近年注目を集めていますが、比較的新しい制度であるため、家族信託でできること、できないことについて当相談室にも沢山のご質問をいただいております。

家族信託についてご不明なことがありましたら当相談室の専門家が丁寧に説明させていただきますのでお気軽にご相談ください。

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そもそも法律上での農地とは?

まず農地とは、耕作(=土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培すること)の目的に供される土地をいいます(農地法2条1項)。

そして、農地かどうかは、登記地目にかかわらず土地の現在の状況によって決まります(=現況主義)。

また農地法には農業生産の基盤である農地を確保し食料の安定供給の確保に資するため、農地を農地以外のものにすること(=農地転用)を規制し、農地の利用関係を調整する目的・役割があります。

それには、不耕作目的での農地の所有権移転や農地への賃借権設定等、望ましくない権利の変動を規制することが重要です。

農地の権利について

上記の理由で耕作をするための土地の減少を防ぐために、農地について全部または一部の権利を変動させるには「農業委員会の許可」が必要とされており(農地法3条1項)、この許可を受けられない権利の変動は無効となります(農地法3条6項)。

農地を信託財産に入れることはできるのか

ここで農地の信託の可否について考えてみます。

農地を信託財産にできるとなると、当該農地の所有権は受託者に移転します(信託法2条3項、26条等)。

となると、上述の農地法3条1項の「農業委員会の許可」が必要になります。

しかし、「信託による権利の移転」をする際には、この許可をすることはできないとされています(農地法3条2項3号)。

農地が生産性の高い農業経営によって効率的に利用されるよう誘導するためです。

よって、農地の信託による所有権移転は農地法上の許可を得られない以上、信託法ではなく農地法3条6項により無効となります。

農地を認知症・相続対策するには

ここまで農地を通常の財産(金銭や不動産等)と同じ様に家族信託することはできないことを説明させていただきました。

しかし、これは農地を農地のままで家族信託するような場合です。

例えば、農地転用の許可を得て当該土地を農地以外の用途に変更すれば、農地法の規制から外れますので、信託財産とすることは可能です。

あるいは、市街化区域内にある農地については、農地を農地以外の用途にするために、売買や「信託」で第三者に権利を移すための「届出」(農地法5条1項6号)を行う方法を採れば、これも信託財産とすることが可能となります。

このような許可等を得る前に信託契約を締結する場合は、これらの許可等を条件とする「停止条件付信託契約」を検討することとなります。

以上のように、農地の場合は複雑な要素が絡みますので、個別具体的かつ詳細な検討が必要となりますので、まずはご相談下さい。

当事務所の無料相談について

当事務所の無料相談では信託財産を含む家族信託についてや、様々な生前対策の中でどの制度が相談者様に適しているかなど、相続対策・認知症対策全般から専門家がアドバイスさせていただきます。

刈谷市・安城市・岡崎市を中心に愛知県全域から様々なご相談をいただていますので、少しでもご不安やご不明点がありましたら是非お気軽に無料相談をご利用ください。

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