株式投資家の高齢の父が認知症になってしまったらどうしよう…。家族信託によって株式凍結の対策をした解決事例
状況
上場株式を家族信託できるか状況愛知県内にお住まいのAさん(女性・50代)からのご相談です。Aさんのお母さまは数年前に亡くなられ、お父様は現在お一人暮らし。
80歳になるお父様は数十年前から株式投資が趣味で、配当金や株主優待を楽しみにしています。
Aさんはそんなお父様の楽しみは奪いたくない、けれどもリスクのある株式投資をいつまでも父にまかせてもいいのか不安に感じてご相談にいらっしゃいました。
信託のご提案内容
受託者:Aさん
信託財産:父の全財産(自宅不動産、預貯金、上場株式)
当初受益者:お父様
帰属先:Aさん
上場株式など有価証券を信託財産とすることは信託法上においては可能です。
ただ数年前には信託口口座に対応できる証券会社がほとんどなく、実務的には意味がないということで、幣所では下記対応をおすすめしておりました。
①有価証券を現金化し、現金を信託財産として銀行信託口座にて管理。
②有価証券は信託財産としない①の場合、配当金や株主優待という株式を保有していることのメリットがなくなってしまいます。売買のタイミングも難しいです。
②の場合、認知症による資産凍結を防ぐことができません。
家族信託を行うメリット
最近は信託口口座開設に対応する証券会社が増えてきました。
今回Aさんのお父様の取引のある証券会社も対応はじめたという情報を得ましたので、有価証券も信託財産とすることとしました。
手続の流れとしては、
①信託契約書を公正証書にて作成・受託者Aさんが、お父様の同じ証券会社にて口座を開設する
②株式を移行
このような手続きを取ることで、株式の売買は、Aさんが行い、お父さんが楽しみにしている配当金や株主優待は今までとおりお父さんが受け取ることが可能になります。
株式の相場は日々変動します。売買のタイミングによっては大きな損失を招いてしまうこともあります。
お父様が認知症になってしまうとそもそも売ったり買ったりすることができなくなります。家族信託契約を結ぶことにより、資産凍結リスクは回避することができ、お父様の楽しみもそのまま継続することが可能となりました。